アドセンス2

2014年4月13日日曜日

【評/感想】『ジョジョ3部アニメ』はゲロ以下! タイマンの物語、乱闘の演出



『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』のアニメが始まった。熱心なファンという訳ではないが、マンガはひと通り読んだ。
しかしこと1993年及び2000年に作られた3OVA『ジョジョの奇妙な冒険 ADVENTURE』に関しては篤いファンの一人だ。『パプリカ』で知られる今敏が演出を手掛けたり、その他『宇宙ショーへようこそ』のますなりこうじ、『マクロスF』監督の菊池康仁ら、日本アニメのトップ演出家たちが手がけている。

シリーズ全体を通して比較することはまだ出来ないけれど、少なくとも第一話に関してはOVA版とTV版の間には数万倍近い差があるかのように感じた。数万倍TV版の方が劣っているように思う。

映像演出に正解というものはないにしても、間違いは存在するはずだ。TV版は明らかに間違った作り方をしている。
しかも、進んで製作者が間違いの側に進んでいることが重大な欠陥だ。

ディレクターの津田尚克はインタビューで次のように語っている。

Q1.3部を映像化する」にあたって大切にしたいと考えていること 

原作のテイストを大事にしていきたいと考えています。1、2部をアニメ化した時と基本方針は変わっていません。元からのジョジョファンも1、2からファンになってくれた人にも、これから見てみようかなって思ってくれている人にも、皆さんに楽しんで貰える様に工夫はしていきますが、基本は変えるつもりはありません。

1部、2部を見ていない人に説明すると、それらは原作のセリフを出来るだけ拾うことを第一の演出方針として作られていた。どれだけ長いセリフ、どうでもいいモブのセリフといったマンガで印象的だった言葉をとにかく詰め込むことで面白さを獲得しようとしていたし、名作とまではいかないまでもファンムービーとしては一定の水準を確保していた。

ジョジョの1部、2部は明らかに『北斗の拳』の 影響下にある作品群の一つだった。だからこそ、アニメでも有象無象のガヤが突如挿入されても違和感を感じず、逆に親和性があった。

しかし、3部からは絵も、物語もより強く独自性が現れている。それにも関わらず、津田は1部、2部と同じ演出方法を選択していることは正解とは言えないはずだ。

3部の独自性とはなにか。それは承太郎というキャラクターだ。あのビジュアルであり、なによりもヤンキー的なタイマンだ。
ラストのDIOとの決戦。両者がザ・ワールドを用いて、他の人間は止まり世界は二人だけの決闘場となった。タイマンがテーマの作品と言ってもいいだろう。
にも関わらず、TV版ジョジョはガヤを挿入する。あまりにも冗長であると同時に、それはタイマンとは対極の乱闘的要素を多いに含む。タイマン的映像空間が一片に崩れ去ってしまうのだ。

TV版ジョジョがこの演出方針を続けるならば、面白くなる可能性はほぼ0だと言っていいでしょう。

ほぼ0を完全に0にしているのが、演出家の構成力の欠如だ。

手短に済ませればいいホリーの描写を長々と何度も映したり、DIOの発見を最初に持ってきたのはいいとして後半でも再び同様の内容を持ってきたりと手際が悪すぎる。

一方OVA版ではジョセフや、ホリーらの描写は極力控え承太郎とアブドゥルに多くの焦点を充てている。その結果、タメを使った緊迫感のある戦闘描写が描かれていた。

是非比較して見てほしい。


あのセリフや、あのポーズを見たいというのなら以前出たPS3のオールスターバトルのムービーだけを見ればいい。私はそれ以上の映像作品としてのジョジョが見たいのだ。


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