アドセンス2

2013年9月15日日曜日

パシフィックリムの原点 「ミミック」


パシフィックリムでデルトロを知ったという人も多いでしょう。
そんな諸兄にもっとデルトロをしっていただきたい!
ということで、今回はミミックをレコメンドしてみたいと思います。

パシフィックリムの良さはガシンガシンと玩具であそぶ時の僕らの想像をそのまま映像にし、さらにそれをエクストリームに増幅させたところでしょう。
観客を驚かせる映画には二種類あると僕は考えます。
一つは、予想と反対のストーリーを描くもの。
そしてもう一つは、我々の予想を追い超し、さらに設定を鋭利にしていくものです。
デルトロはまさにこの二つ目のタイプであり、彼以上にその能力に長けた映画監督はなかなかいないでしょう。

ミミックを一言で評するなら、パシフィックリムでの格好良さへの想像力を全て気持ち悪さに傾けた映画なのです。
近未来マンハッタンではゴキブリ媒介源とするストリックラー病により、多くの人命が失われ、助かった者も重い後遺症に苦しめられていた。有効な治療法のないこの病気に対し、ニューヨーク疫病予防管理センターのピーターから要請を受けた昆虫学者のスーザンは、ゴキブリだけを殺し、一定期間後に死滅する新種の昆虫ユダの血統」(Judas Breed)を遺伝子操作によって創造した。放たれた「ユダの血統」は短期間で多数のゴキブリを駆除し、ストリックラー病は根絶とまではいかないものの、事態は沈静化。「ユダの血統」の存在は創造主であるスーザンからも忘れ去られていった。
それから3年後、ニューヨークのとある駅周辺でホームレスが次々と行方不明になる事件が発生。スーザンが持ち込まれた巨大な昆虫幼虫らしき物体を調査した結果、死滅したはずの「ユダの血統」が生き延び、密かに繁殖している事が判明する。彼らを絶滅させるべく行動開始するスーザンだが、3年の月日は「ユダの血統」を人類の天敵となりうる生命体へと進化させていた。

この映画の肝は虫という身近なものだからこそ、触感が容易に想像できてしまう点です。触覚、かぎ爪、そして粘液、デルトロはそれらを執拗に想像させるような描き方を続けることによって観客を映画の内部へと引き込みます。

翻ってストーリーの現代への批評性もとても高い作品でもあります。
人間の作り出した汚染された地下環境により、人間は病を発症したり、ホルモン異常による不妊に苦しむ一方、昆虫たちは環境に適応し、より強力になるという皮肉は日頃のニュースでもよく耳にする所でしょう。
また随所にキリスト教モチーフを入れながら人間の業を視覚的に表現もしているところも大変うまい。

とにもかくにもパシフィックリム2を待てない人はこれを見て待ちましょう!