アドセンス2

2014年10月30日木曜日

評/感想 『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』 こんな映画見て感動して泣いてるバカップルは全員別れちまえ!

監督を冬のテムズ川に蹴落としたい!




「日常には幸せが溢れている。だから、僕らは一日一日を大切に生きないといけないんだ」
確かに美しいセリフだし、見習いながら生きたいものだと僕も思う。けれど、どんな言葉も使う場面によってはとても歪んで、グロテスクになり得るはずだ。
たとえば、あなたが仕事をクビになって路頭に迷っているとき、一度も働いたこともない石油王の子息に、「人生はかけがえない、日々は幸せに満ちている」なんて言われたらどうするだろう。
僕ならその大金持ちが半分も言わない内に、顔の中心を目掛けて硬い拳をワン・ツーで決めてやる。

『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』ってのはそんな映画だ。エンドロールが終わって僕は、イギリスまで行って監督のリチャード・カーティスを冷たいテムズ川に蹴落としてやろうと思ったほどだ。だけど残念ながら僕のパスポートは期限が切れてしまっているから、さしあたってはブログで小さな攻撃を行うことにする。


超自己中童貞ティム!




この物語の主人公は童貞のティム(ドーナル・グリーソン)。彼は21歳のお正月に、この家庭の男にはタイムトラベルの能力を持っていることを、父(ビル・ナイ)から教わる。DTのティムは当然この能力を、彼女を作るために使う。彼は一目惚れをしたメアリー(レイチェル・マクアダムス)の趣味を調べ上げ、彼女が男と付き合う前に登場して、見事ティムは童貞を捨てるという具合だ。その後も、ちょっとしたトラブルが起きるけど、タイムトラベルをして過去を変えれば事態は丸く収まって、かつて童貞だったティムは子宝にも恵まれ幸せな家庭を築き、めでたしめでたしってわけ。

そして、彼はドヤ顔で観客に向かって言うんだ。
「僕は気がついたんだ!タイムトラベルなんて必要ないってことを!なぜなら日常がとっても素晴らしいからね!」って。

気が付くと僕はスクリーンに向かってファックサインを投げていた、こんな映画のオチが許されてたまるかよ!

自分の思うがままに過去を書き換えて、パーフェクトな人生を手に入れて、「日常は幸せに満ちている」だって!?
そんなの当たり前だろっつーの!お前が好きな様に、好きなだけやり直したんだから!

世の中の全ての人間の人生は、やり直す事が出来なんだよ!
ティムと違って、失恋も、誰かの死も、自分の失敗も全て引き受けなければいけないんだよ!
おい、ティム!お前は果たしてそんな「普通」の人生を肯定できんのか、と僕は聞きたいよ…



史上最悪のライムトラベル映画



てか、そもそも監督リチャード・カーティスはタイムトラベルものとしてこの映画は充分な出来だと思っているの?
主人公のワガママのために、他人の人生をぶっ壊して何のお咎めもなくハッピーエンドって!
確かに『バタフライ・エフェクト』や、『エターナル・サンシャイン』といったファンタジーラブコメは毎回毎回切ない終わり方で食傷気味だから、ハッピーエンドにしたかったんだろうなーという思いは汲むよ、だけどこんな独善的で、上から目線な物語は到底倫理的に許されるものじゃないと僕は思うね。

最後に一言、これだけは言っておきたい。
こんな映画見て感動して泣いてるバカップルは全員別れちまえ!

バーカ!