アドセンス2

2013年10月10日木曜日

CHRONICLE -クロニクル- は「人間」を描けてるイケてるSF映画だった 最高


巷で話題沸騰中の映画クロニクル観てきました。

いじめられっこの高校生が超能力を手に入れたらどうなるか。
主人公のアンドリュー少年の内面の葛藤あるいは、成長を超能力をギミックとして丁寧に描けている作品だ。

この映画の一つの特徴であるPOVも、(もちろん低予算でCGの荒を目立たせないための苦肉の策という面もあるが)アンドリューのパーソナリティを描く道具としてちゃんと機能している。

アンドリューがカメラを手に入れた日から映画は始まる。
彼が最初に撮影したのは、鏡に映った自分の姿だった。そのショットを撮りながら、「これからおれは人生の全てを記録する」と呟く。
学校でいじめられ、家でも虐待をうけている彼のいびつな承認欲求が垣間見えるファーストシーンだ。

しかし、そんな人生に転機が訪れる。
いとこのマットに誘われホームパーティに連れられて行くと、ひょんなことから人気者のスティーブと三人で森の中にある謎の穴に潜ることになる。
その奥には、巨大なクリスタルがあり、彼らはそれにより超能力を発現していく。

それまで、アンドリューの悲惨な日常を綴ってきたが、
ここからはアメリカンパイを彷彿させるような青春コメディ風にテイストが変わる。
超能力が目覚めた三人は、レゴを動かすようなしょぼい修行をへて、街にでて実践をおこなっていく。
もう、何をするかが分かっただろう。
そう、スカート捲りだ。

この辺はとにかくたのしい。
誰もがやりたくなるようなイタズラをさんざんしまくる。
そして、さながらずっこけ三人組のような楽しいホモソーシャルの空気感もリアルで青春映画として素晴らしいのだ。

ただもともと、非モテでいじめられっこのアンドリューは彼らにコンプレックスを抱いている。特に自分だけセックスをしていないということが最大のコンプレックスなのだ。

マットとスティーブは、そんな彼を人気者にしようと学校のタレントショー(歌やダンスなど一芸を披露するイベント)をに出場させる。
アンドリューは超能力をつかったマジックを使って見事優勝。一躍学園のスターになったのだ。さながらナポレオンダイナマイト(バス男)みたに。

しかし、彼の人生の絶頂はそう長くは続かなかった。
打ち上げのハウスパーティにVIPとして招待されたアンドリューはみごと女の子をゲット、ベッドルームでいざ挿入...という時にゲロを吐いてしまうのだ。
そしてそこにスティーブが「ブラザー!初体験の感想聞かせてくれよ!」と言わんばかりに入ってくると、アンドリューは激怒。
この世の全てを拒絶するかの様に自分の世界に没入していき、壮大な友達同士の喧嘩がはじまる...

アメリカンパイを筆頭とする脱童貞コメディ映画は、大量に作られた。
しかし、その映画の中の童貞たちはみな一様に、底抜けに明るかった。
だがそんなことなんてなく、アンドリューのようにコンプレックスを抱いたり、それを馬鹿にされたら烈火の如くキレてもおかしくないはずだ。実際に監督は、ボウリングフォーコロンバインを観させたそうだ
あるいは、いびつな承認欲求とコンプレックスは僕ら日本の観客からすると、秋葉原事件の加藤を想像させるかもしれない。
監督はキャラクターをちゃんと描く事が出来る。当たり前のことだけど、昨今の映画業界にはなかなかそんな監督が少ない。
まちがいなく、これからビッグになる監督だ。

もちろんアキラを彷彿させる映像も素晴らしい!低予算にもかかわらず、かっこよく決まってるカットがいくつもあった。

次回、大きな予算でファンタスティックフォーを撮る事が決定しているそうだが、きっと成功するだろう。