アドセンス2

2014年2月26日水曜日

【評/感想】『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』ダダ滑り!映画史に残る寒さ!純粋クドカン批判


宮藤官九郎という作家は私にとって大変置き場に困る人物の一人だ。みうらんじゅん・原作、宮藤官九郎・脚本の『アイデン&ティティ』、『色即ぜねれいしょん』は私の最も好きな作品である一方で、彼が構成作家を務めていた『笑う犬』や『ワンナイ』はそのつまらなさに観ると蕁麻疹に襲われるほどの嫌悪感を抱いている。

熱心なファンではないので彼のキャリアの半分ほども見てはいないが、 宮藤官九郎はリアリティレベルが現実に近いほど良い作品をつくり、反対に突飛な設定ではその良さを発揮できず、はっきり言えば滑る作家だと前々から思っていた。

宮藤官九郎と、三池崇史がタッグを組んだ『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』は、完全に後者に振り切っている。

交番勤務の警察官・菊川玲ニ(生田斗真)は行き過ぎた正義感から、市民に銃を突き付けたりと幾つものトラブルを起こし、クビにされかけるも、彼の資質を買われ潜入捜査官として暴力団・数奇矢会壊滅の命を受ける。
数奇矢会傘下の阿湖義組若頭クレイジーパピヨンこと日浦匡也(堤真一)と死闘の末、「男気」を買われ兄弟杯を交わし晴れて構成員となった菊川は内部での麻薬取引ルートを摘発するべく奔走する

一見インファナル・アフェアなどを思い起こすプロットだが、そういった「バレるか、バレないか」でハラハラさせるサスペンス性は一切ない。生田斗真が「男気」でヤバい局面を乗り切るというおバカ映画の方向で作っている。
たとえば、組長との親子の盃の義で「杯をふところにお納めください」という言葉を勘違いし、本当に杯を食べてしまうようなバカだけれど男気があるようにキャラクターを描いている。

でも、これってギャグとしてすっごく寒くないですか?
物語の転機となる大ネタがこのコロコロコミック以下の寒い古典ギャグ。かろうじて三池崇史が仰々しい雰囲気で誤魔化しているが劇場は明らかに冷めていた。

その他にも見ている方が恥ずかしくなるダダ滑りギャグが連発。特に土竜の唄と掛けて、ヤクザまがいの強面潜入捜査室の面々が歌うスローガンの『土竜の唄』が筆舌に尽くしがたいほど寒い。しかも、劇中で何度も見せられるからたちが悪い。

怖そうなおっさんがノリノリで歌うのを面白いと思うセンスは10年前でも古かっただろうに恥ずかしげもなくこんなにもつまらないネタを仕込む宮藤官九郎に、逆に男気を感じてしまう。

宮藤官九郎作品が突飛になるほどつまらなくなるのは、軽薄さと、凡庸さが浮き彫りになるからだと私は考える。
ファンが指摘する通り宮藤官九郎の魅力は小ネタだ。マニアック(っぽいだけだと思っているけど)でクスっと来たり、間を活かした笑いだったりというのが武器なのだが、それらのギャグの強度は世界観が現実的なものの方がより映えることは明らかで、今回の映画でのそれらは明らかに設定に霞み、逆に物語の展開を阻害する障害物としての機能しか果たしていない。

また今回の映画のもうひとつの軸は童貞ネタなのだが、そもそも生田斗真が童貞ってと男なら誰しも言いたくなるだろう。この映画にしろ、 その他のドラマにしても宮藤官九郎の描く童貞は、モテるポテンシャルを持っていながら運の悪さと、間の悪さが祟って挿入に至ることができなかった人物が多い。いわば99パーセント非童貞の童貞で、童貞ネタをやっていることが多く非常にいやらしいというか、率直に言えば頭にくるほどウザい。

そして童貞を軸に書くネタもあまりにも書割的すぎる。今年30歳になる生田斗真がビキニ写真に喜んで飛びつくというのは記号的な演出にしたって無理がある。

取り留めのない批判が続いたが最大の欠点は、薄っぺらさだ。バカさから始まり滑ったギャグを「男気」といい、童貞ネタを扱う割にはエロに対しても真摯さが全くないにも関わらず、いかにもぶっ飛んでることをやっています、きわどいエロをやっています、と言いたげな雰囲気を醸し出しているところに始終苛つきを感じてしまう。

昨年は連続ドラマ『あまちゃん』を手掛け、その他にも『中学生円山』、『謝罪の王様』といった映画作品を製作した中での一作だけに彼の本来の力量を存分に発揮した作品とは言い難いだろう。しかし、それならばこんな作品を作るべきではなかった。

コメディ映画をクスリともせず、真顔で2時間観る苦痛を宮藤官九郎は知っているのだろうか。


3 件のコメント:

  1. お前がつまんねーだけだろ

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  2. 貴方の文章がアマゾンのレビューで無断盗用されてますよ。

    http://www.amazon.co.jp/review/R3LW3Q39WSAOJL/ref=cm_cr_dp_cmt?ie=UTF8&ASIN=B00KXUJ2QK&channel=detail-glance&nodeID=561958&store=dvd#wasThisHelpful

    このペーパームーンというバカタレに何か一言、言ってやってください。

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  3. つまらないと感じるのが私だけじゃなくて良かった・・・
    あれを面白いと思う人って、つまらない冗談言って周りの人を困らせてるタイプなんでしょうね

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